2008年3月17日月曜日

染色体まで

久しぶりに泣いて泣いて笑って泣いた。

確実に私の染色体が轟いた。



私の母方の祖父母のルーツは秋田と山形だそうだ。

祖父はサラリーマン歌人だった。

最も敬愛しており尊敬していた歌人は、山形出身の斎藤茂吉氏だった。


戦前から戦時中、朝鮮で大豪邸のお坊ちゃまとして暮らしていた祖父は、茂吉氏が中心となっていた「アララギ派」で、歌人をしていた。

茂吉氏とは直接面識はないそうだが、同じアララギの近藤芽美氏に詩をみて頂いていたそうだ。


趣味の範疇を超えたレベルで死ぬまで歌人だった祖父の家の表札は「俳名」が、上で、「本名」が、下。

幼かった私は全く意味がわからずに純粋に祖父には2つ、名字があると思っていた。


そして祖父の書斎の書棚には、茂吉氏の書籍がずらーっと鎮座しており、そこの前にいつも腰掛けていた祖父だったので、
私の祖父のイメージはいつも、

齋藤茂吉と一緒

だった。


そんな祖父を見ていたからかどうかわからないが、なぜか私は「齋藤一族」が好きらしい。

長男のモタ先生から始まって、次男の北杜夫氏、孫の齋藤由香さん。そして、茂吉氏の奥様、輝子さん。


齋藤家の方々には非常にお世話になっている。もちろん、書籍上で。


私はこの茂吉、モタ、杜夫氏3名が親子であることを知ったのは実は、3氏の作品を愛読しだしたかなり後なのだ。


何気に興味を惹かれて手に取って読み出してスッポリ気づいたら「齋藤一族」制覇。

不思議なもんだ。

これは祖父の因縁としか思えない。と、思いつつ面白いのでやっぱり愛読「齋藤一族」。


孫の由香氏の存在を知ったのは割と近年で、やっぱり読んでしまう。

OL由香氏は謙遜するが、確実に彼女も「齋藤一族」の才能を受け継いでいるから読んでしまう。


茂吉氏の奥様、輝子さん。

4氏の作品の中に輝子さんはよく登場する。

作品の中の彼女は、私の限りなく理想とする憧れの女性。


そんな輝子さんのことを孫の由香氏が書いた本を読んだ。



『猛女とよばれた淑女 祖母・齋藤輝子の生き方』


ページを開いてすぐ、胸が高ぶり始めて涙が出てきた。

こんな感情になるなんてびっくりした。



Googleで茂吉氏のことを調べる彼女。

卒論で茂吉氏をテーマに選び四苦八苦する彼女。

輝子氏との思い出を記す彼女。

そして、

この本を亡くなられた茂太伯父さまに読んでほしかったと記す彼女。


輝子さんの本のはずなのにこれはくしくもモタ先生への追悼本でもあり、「齋藤一族」そのものの本になってしまった。



その言葉ひとつひとつが、私の中で轟いた。

祖父の因縁でもなんでもなくて、私の染色体には祖父の敬愛した「齋藤一族」が染め抜かれていたらしい。


ずっと、単なるコピー現象だと思っていたけどなんだかどうやらもっとディープだった模様。


こうなったらまだ見ぬ未来の私の染色体にも引き継がせてやろうじゃないか。

と、私の野望は続いてくのだ。

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